2020-01-01から1年間の記事一覧

有限

弟とは長い付き合いで、それなりに理解しあっているきょうだいのつもりでいるのだけど、ときどきほんとうになにを言っているのかわからなくなることがある。先日、弟の家からおさがりの冷蔵庫が運ばれてきた。シルバーでツードアのなんの変哲もないコンパク…

夜景

高層階にいる。広々としたホテルの客室だ。バスタブの蛇口からはこの場所の高度を感じさせないほど勢いよくお湯が出た。家から持ってきたバブ(庶民的!)を入れた湯舟にかなりのんびりと浸かったあと、油揚げのように分厚いバスタオルで身体を拭いて、その…

愛の不時着

すばらしいドラマだったけど、みつづけるのがつらくなってしまったタイミングはいちどある。風邪がすっかり治ったタイミングだった。そもそも、韓国のドラマをいちどもみたことがなく、正直いって興味もなかったわたしが「愛の不時着」の再生ボタンを押した…

非・パフェ派のひとたちに送ったメール

☽☽さん、❅❅さんへ こんにちは。土曜日に遊ぶ件ですが、さっきのメールでは☽☽さんの案に乗っかっただけになっちゃったので、別の案をちょっとだけ置いておきます。 急にまじめにパフェの話をはじめるのですが、☽☽さんはパフェの存在意義があまりわからない、…

課題

湿気は苦手だ。 乾燥や暑さや低気圧や雷や西日や蟻や掃除やミャンマー料理や大晦日や発泡スチロールやその他あらゆるものが苦手だが、とにかく湿気は苦手だ。毎日じめじめしているとだんだん身体からカビが生えるイメージが湧いてくる。外を歩くとき服と身体…

家父長制

花火買ってきまーす、とコンビニに降り立っていったはずのひとたちがしゃぼん玉を持って車に帰ってきた。この雨じゃ花火はどのみちできないからね、ということなのだけれど、この雨のなかでしゃぼん玉はできるのだろうか? 車内でしゃぼん玉をする案がいっし…

バニシングツイン現象

短歌にかかわる知人同士が結婚するということがときどき起こる。短歌にかぎらず、継続してかかわっている業界があるとときどき起こることなのだろうと思う。結婚したのち、多くの場合にその片方が短歌を辞めてしまうことは長いあいだわたしの関心ごとだった…

記憶をぜんぶ消すやりかた

長期旅行のあいだ預かっていてほしいと友だちから託された家事ロボット(本物の人にしかみえない)が本来はセクサロイドとして開発された商品であることを知ったのはロボットと暮らしはじめてからしばらく経ってからのことだった。もともとはオプションだっ…